草 虱 12/4 2019
栗園は猿の親子の遊園地
穭田に一役果たし案山子立つ
数珠送り煩悩払う十夜寺
漆喰のまばゆい土蔵柿紅葉
もみじ背に医王寺凛と家族づれ
保津川に映す紅葉の小倉山
引き揚げの桟橋秋の涙寄せぬ
花嫁は始終笑顔や秋の天
青空にいとも際立つ照り紅葉
枯れ葉散る枝の隙間に入る光
本を読む月より冷ゆる夜半の冬
十二月血圧上ること多し
草虱一日好かれていたるかな
うつむきて歩く教皇着ぶくれて
短日の光集めし万歩計
残れし刻を思うや冬茜
副作用に脳梗塞…眼の凍る
霜柱状の網膜写真かな
新 松 子 11 /4 2019
new
村祭り出囃子どどんぴいひゅるる 美代子
毬栗をわる地下足袋の足使い
たわわなる枝豆下げるスニーカー 喜久巳
鋒山にのる小座布団秋祭
町はずれ全てちちろの闇となる 博三
雉啼いて農機のエンジン止めにけり
草紅葉踏みしめ登る子らの列 しづ子
三番叟父子で舞いて秋祭
目を凝らし飛行機を追う星月夜 佐代子
草の花豆田を被う凄まじさ
星月夜宇宙に繋ぎ夢を追う 順子
茹で上がりつるりと皮の衣被ぎ
秋好日こけしの筒にラブレター こつる
何辺に庭に出て見る酔芙蓉
絹擦れの厳然とあり新松子 美穂
秋霖や無冠の鞍を解き外す
勲鏃痕 大尉殿より賜わりし <発句> 宇則
時雨るるや見るみる痩せし銃痕兵
病床の細い鉛筆 日の短か
軍人手帳の細い鉛筆 日の短か
<挙句>
≪寄せ書きに見る当時の思想=昭和18年≫
「皇風萬里」
祈 武運長久 為○○○○君
必勝 勲 鏃痕
撃ちてしやまめ 一抜日本刀
神州健児 一死報国
( ノД`)
もっとスゴイのが七生報国
……………………
秋 霖 10 /4 2019
《今月の最高点句》
里山の夕日の溜まる刈田かな 順子
片一方の目で秋霖の糸通す こつる
風の盆胡弓の音色夫思う しづ子
蜻蛉追う孫への足のもつれけり 泰明
........................
大雨や苅田に胸を撫で下ろす 博三
鈴虫の声に誘われ寄り添いぬ
野分の闇阿弥陀念仏唱絵ゐる 美穂
武将神見渡している豊の秋
銀杏に歩道取られて回り道 泰明
蜻蛉追う孫追う足のもつれけり
相席も丹波篠山秋時雨 喜久巳
笛ひびく午後の校庭運動会
里山の夕日の溜まる刈田かな 順子
虫の声闇に溶け込み寝入りの端
女子会の後の余韻や秋うらら 佐代子
蛇六匹野菜網に引っ掛かり
港町の夜景に宿る今日の月 美代子
父母と夫を送りし里や曼珠沙華
実石榴や頰に叩きし化粧水 こつる
片一方の目で秋霖の糸通す
友が来て半日話す秋の昼 周
亡き兄の想いにふける秋の夜
風の盆胡弓の音色夫思う しづ子
季くればいつもの畦に彼岸花
四千の一揆の古文書 野分また 宇則
時雨れるやコーリャン飯の銃傷兵
落 し 水 9/4 2019
誰が鳴らす鐘の余韻の秋めきて 喜久巳
星仰ぎ平和であれと踊りの輪
来客に暑さの消える小半日 周
紫陽花の開けど色はつかぬまま
身も軽く風に委ねし夏衣 順子
またしても打水するや戻り熱
キャラクターのこつるちゃんとや西瓜食む こつる
電柱の等間隔や稲実る
砂集め炎暑の球児夢つなぐ しづ子
朝風や蝉の合唱今日うれう
皇風萬里討ちてしや満ん 空は澄む 宇則
チュルチュルㇽ 一流とかげ逃げきりぬ
生まれたてかまきり鎌を振りかざす 佐代子
叢祠より柵へ大きな蜘蛛の穴
産土神へついたち詣で二百十日 美代子
落し水 田毎の畦を風渡る
大雨の予報崩れや蝉時雨 美穂
朝風や蝉の合唱今日うれう
取立てや三度の膳夏野菜 博三
故郷の祭り太鼓に合わす足
風 鈴 8/4 2019
new.
なみだ目に真っ赤な夕日や梅雨上がる こつる
カサブランカの白を咲かせし余生かな
風鈴や 兄のメールの途絶えしも 周
思いがけぬ来客のあり初夏の風
顔隠し日傘頼りの昼下がり 順子
出来悪く異常気象の夏野菜
同級生老いを労う敗戦日 喜久巳
盆の月古民家照らす古かまど
白南風に折れまいと苗踏ん張れり 佐代子
炎天下ホースに残る水温し
雨上がり紫陽花スックと背を伸ばし 博三
蟻の道これから先は直角に
信号を待つ片陰へ飛び込んで 美代子
黙礼で過ぎし鎮守ヒロシマ忌
土手草の伸びる我が家に助っ人が しづ子
道ぎわに群れ虎杖手をあふれ
捩花のすなおにねじり進行形 美穂
若者の影法師往く別の夏
大西日へ非核パレード丹波路 宇則
やめ派兵七世報国敗戦日
梅雨晴れ間 7/4 2019
《今月の最高点句》new.
たこ焼きをクルクル返す梅雨晴れ間 村上 美穂
ペダル踏む 白シャツの背を膨らませ 佐代子
サークルの集いたる樹下青葉風
兄逝くや墓前に誓う夏の風 博三
空梅雨の夕べ淋しい溜り水
雲流れ予知に優れし雨蛙 順子
愈々と草に滴る走り梅雨
光秀の母落城の旱り梅雨 宇則
ゆーっくり平家蛍や敦盛塚
青峰より里に匂える風清し 喜久巳
裏庭に忘れられたる鹿の子百合
黒板に今日のひとこと夏至の寺 美代子
大仏の猫背となりて夏日浴ぶ
絵手紙の暑中見舞や四方の山 しづ子
草刈りの老若男女日役かな
恙なき風の便りや栗の花 こつる
老鶯や主義主張なく引きこもる
天の水きらりはじきて七変化 美穂
田水張る 6/4 2019
《今月の最高点句》
産土の星を沈めて田水張る 美代子
夕暮の植田蛙の声高し 佐代子
定植の野菜薫風吹き渡る
通院の忘れた帽子冬帽子 博三
婚礼の孫の成人眩しくて
若葉陰げんまんしたままかくれんぼ 宇則
鎮魂の梅雨入り前線 一番機
風薫る令和と歩むわが市かな 喜久巳
時の日を柱時計とわが鼓動
産土の星を沈めて田水張る 美代子
苗床や片ちびの亀の子たわし
芍薬の十四五本や客迎う こつる
早苗田に城山の雄姿試歩の道
茶娘の指先捌き次々へ 順子
小手毬の小花集まり花一輪
母の日や届く色花花やぎて しづ子
一人松に挑む職人玉の汗
初夏のうねる茶畑琴演奏 美穂
携帯の捕虜に差し入れ豆ご飯
水脈の果て炎天の墓碑を置きて去る 兜太
花 大 根 5/4 2019
《今月の最高点句》
伏せられし石臼囲む花大根 こつる
母残し逝く人のあり春浅し 佐代子
眩しかり水田を揺らす春の風
久方の友のもてなし蕨取り 博三
山笑う小犬駆け出す猿の群れ
公園のスキップ競う子等の春 順子
川沿いの果てなく迫る桜道
一歩出て新緑の中深呼吸 周
緑風や知人の車に誘われて
去る人と来る人ありし若葉風 喜久巳
さっぱりと白一色に夏帽子
花吹雪を浴び三の丸小商い 美代子
初夏の花嫁を待つ鏡かな
伏せられし石臼囲む花大根 こつる
今咲かんとす 令和の御代の牡丹かな
コンクリの路肩にぴょこり すみれちゃん 宇則
ぼやき呟き今朝は鼻うた 柳の芽
いっぱいのおしゃれの母と入学式 しづ子
ママ帰宅に居留守の子犬春の月
葉桜や特集保存令和記事 美穂
自爆テロ苺に添える木のホーク
う ど の 香 4/4 2019
《今月の最高点句》.
うど届く古里の香も包まれて 喜久巳
...............................................................
連日の陽気につられ蕗の薹 順子
里山の山川野にも春の音
解けの堰落つ水の深さかな 美代子
キッチンのタンポポ二輪朝日さす
春めきて旅行のプラン娘と立てる 周
春日の徒歩十分の日課かな
うど届く古里の香も包まれて 喜久巳
紫雲英田も観光客あり畦の道
春めきて未だ芽吹かぬ九輪草 佐代子
篠山の空へ咲き満つ桜かな
さくら草向こう三軒両隣 美穂
百千鳥一点となる郵便船
菜の花や地蔵の館明るうす こつる
留守番で蕗味噌つくるくらしかな
娘の墓に詣でる今日も春時雨 しづ子
寂庭にポツンとたたずむ蜂巣函
ゴーアヘッダ 桜のボタンかけ違う 宇則
田螺食て麻痺した男まだ眠る
野 焼 き 3/7 2019
《今月の最高点句》.
満票
風が解く 野焼きのあとの草の罠 美代子
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眼科医の老化の一語冬薔薇 佐代子
冬の朝 柏手に消す陰気かな
庭の木の鳥影縁に日足伸ぶ 博三
風聞に今年限りの年賀状
雛飾る年毎に虫喰い増えて 美代子
風が解く野焼きのあとの草の罠
寒の朝辺りの空気ひきしまる 周
振り返る子を見送るや寒の月
登校の自転車急ぐ息白し 順子
うきうきと外に目の向く春日和
通学路に子猿三匹春隣
こつる
久方のビンゴゲームや二月尽
娘の命日いつもの笑顔桃の花 しづ子
部屋着にと取出す古きカーディガン
ジーンズにレッドを羽織る島の春 美穂
春浅し昼に出ていく郵便船
春未来 不動無言のサンゴ礁 宇則
桃の花 親子パンダの手が動く
春立てりスパゲッティのゆで加減 喜久巳
おさな児と遊ぶ絵本の中は春
冬 満 月 2/4 2019
暖房のプラネタリウム寝息立ち 佐代子
積雪となりさんざめく朝ぼらけ
七草粥祝い終えて箸白し 美代子
干し物を抱くセーター薄しめり
寒風の中歩く人我一人 博三
新春のめでたき朝の酒旨し
角曲がる娘の振る冬の灯かな 周
行列して賽銭供う冬の宮
大寒や高城山のどっしりと 喜久巳
昨日より今日冴え返る小窓かな
裸木の隙間より入る陽の光 順子
木枯や枝に一枚残しつつ
煌めきて冬満月や車椅子 こつる
凍て続く麻痺の指もむティータイム
暖房音小部屋の我を守り居し しづ子
ぶきぶきと踏みしめ急ぐ雪の道
風吹かばアッツ・キスカへ早春賦 宇則
大志かな化石になりたい三学期
物言わぬ牡蠣を函詰め波の音 美穂
数列のきれいな年賀ハズレかな
初 明 り 1/4 2019
《初句会の最高点句》.
とんど焼きもちがふくれて列に入る 博三
田起しの重機の音に鷺静か
群雀一丸となる冬の夕 佐代子
来る年や地蔵様の前掛け縫う
古暦の残りの日日や未来の灯 美代子
京舞の白足袋一歩踏みだしぬ
石段の一歩一歩に淑気満つ 喜久巳
珍しく河原に上がる鳶かな
冬の日や深閑として我が在所 周
冬の日や励まされたる一人かな
柚子の香や一際引き立つ茶碗蒸し 順子
除夜の鐘思い出捲り日記帳
小春日の縁に座布団並べおり こつる
大掃除父が形見のふいごかな
年ごとに淋しさ増える師走かな しづ子
独り居やポインセチアの彩の満つ
鄙び戸の桟に差された絵門松 宇則
閉店街 ずぶ濡れの猪ちはやぶる
一列の甲冑の目や城淑気 美穂
沖縄の海 恵方への通せんぼ